片翼の天使



「みぃちゃん!もう帰れるねぇ♪いつ帰る?明日帰る?」



やっと泣きわめき終わった柚子は、きゃっきゃきゃっきゃしている。



「柚ー子。みぃの瞳が戻っても“あっち”がまだでしょ?」



柚子の頭を軽くコツンとしながら笑う優花。



「うむむ‥そうでしたぁ」

「会長からも、颯斗先輩からも“まだ引きこもってまーす”の連絡しかないし」

「だぁよねぇー。
金成くんも海斗先輩からもだよぉ?」



「「どんだけヘタレなんだよ」」



そう言いながらケラケラ笑ってる2人。


え?
ちょっと待って‥?



「2人とも、連絡とってるのっ!?」


「「うんっ」」



美しい笑い顔で即答してくれた2人。

えー‥なんか地味にショックかも。




ーーーーーー‥




「‥ーーみいる?」



私たち3人の騒ぎを静かに見ていたフォルテくんが、

その蒼っぽいグレーの瞳をゆらゆら揺らして私の名前を呼ぶ。



「帰るの‥か?」



消えてしまいそうな、その声ーー‥。



「帰っちゃ嫌だ‥」



頭を振りながら‥

その大きな瞳に涙をいっぱい溜めながらーー‥



「フォルテくん‥」

「みいるに会って、胸がきゅーってなった」



下唇を噛み締めながら、少しずつ声を繋げていくフォルテくん。



「みいるが帰るって思ったら、またきゅーってなった‥」



「苦しいよ‥」って言いながら、私をゆらゆらとまっすぐに見つめる蒼いグレーの幼い瞳。



フォルテくんの頬に

ついに一筋の


涙が流れるーー‥