片翼の天使




「魅さまっ!」

「あ、辰じぃ」

「お探し申し上げておりました」



少しだけいつもよりも早口な辰じぃ。



「ごめんなさい‥。外に出たら門がわからなくなっちゃって」



すると、辰じぃは優雅にニッコリと微笑み、



「ご無事でなによりでございます。

そちらの小さな紳士が魅さまを守ってくださったのですね」



と、フォルテくんに一礼した。



「あ‥じゃ、また来いな。みいるっ」



そう言うなり、くるっと後ろを向いてしまったフォルテくん。



「うんっ!明日も行くねっ。今日はありがとう」



少しだけこちらに向けてくれた彼の顔は、綺麗に楽しそうに笑っていた。





「あの子が笑顔を見せてくれるなんて‥

魅さまは不思議な方ですね」

「え?」

「いえ。さぁ参りましょう。柚子さまも優花さまも心配しておられます」

「は‥い」








ーーーーーーー‥








「「良かったぁ‥」」

「あ、ごめん‥なさい」



リビングに入るなり安堵の息を漏らした優花と柚子。



「外にお出になられたら、門がわからなくなってしまわれたそうです」



辰じぃが状況を簡潔に説明してくれた。



「「ああ~‥」」



また声が揃う2人。
瞳を見合わせて笑いをこらえてる感じがする。



「どうしたの?」

「みぃ、方向音痴の自覚‥」

「そろそろ持とうねぇ♪」



あっはっははっはっはははははははははーー‥



「え‥」



ほら、私って笑われるコト多いよね?



「みなさま、お夕飯にいたしましょう」



そう案内する辰じぃさえ、口元に手をあてて笑ってた。





平和な日常。




あなたは今、


何をしていますか?