片翼の天使

私たちは

ぐるぐるぐるぐる
たくさんたくさん

お出かけした。


お買い物なんて、
1人ダンボール2~3箱分くらいになっちゃったよ。


街は賑やかで楽しくて、穏やかな人が多かったかも。


レトロな雰囲気がとても心地よくって、毎日わくわくしてた。



劇やオペラも見に行った。

歌って、あんなに
“心”が伝わるんだーー‥


ほけー‥ってなりながら魅入られてしまいました。




ーーーーーーーー‥




こっちへ来てから
半月がたった頃、


私は1人で庭にお散歩に出ていた。

もうすぐ蒼い空は、橙へと色を変えるだろう。


今日も良いお天気でした♪

するとーー‥




ーーーーーー‥♪





……歌?





ーー~~~~‥♪





歌だ‥
誰かが唄ってる。



私は惹き寄せられるように、その歌声の方へと歩いてゆく。




綺麗な声‥

高めで

麗しくって

幼いけれど、しっかりした声。



なにより、

どこか儚くて

とても透明だった。





ぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱち‥





気がついたら教会の中に居た私。

そして、無意識に拍手をしていた。



「!!!

Wer ist er sie?」



私を誰かと聞いたその人は、小さな男の子だった。


暗くてよく顔が見えない。



「Mein name ist Miiru.」




私は勉強に関しては天才らしいから。

ふふ。

日常会話なら、もうお話しできるんだ♪




「Ich komme aus Japan.」




ーーーーー‥





「なんだ。日本人か」



おぉう!!

“私は日本から来たんだよ”って言ったら、いきなり日本語で話し始めたこの男の子。



「俺はフォルテ。
お姉ちゃん、みいる‥って言ったっけ?」

「ほぇ?あ、うん」

「綺麗な声だね♪」



そう言いながら、

教会の高い所にある丸窓から差し込んだ、一筋の光の中に入ってくフォルテくん。



私は、瞳をまるくした。



幼いけれど綺麗な顔立ち。


蒼い光を放つ銀髪。


瞳は蒼みがかったグレー。




ーーーー似てる‥。