片翼の天使




広いお庭の白いベンチに座りながら、改めてこの“別荘”を見渡す。



象牙色の壁


藍色の屋根


上が丸い、赤い縁の大きな窓が規則的に並んでる。



焦げ茶色のおっきな扉には、金色の取っ手が付いていた。



庭にはいろんな花が咲き誇る。

向日葵もあった。





日本の夏より、爽やかな気がするな。


緑色の葉をつけた木がさわさわざわざわ気持ち良い‥。






ゴーン‥ガーン‥





「なんの音?」


「あれはねぇ、近くの教会の鐘だよぅ」





茜色に流れる雲。

隙間から覗く月。

教会の鐘の音。



胸がぎゅってなる‥






「行きたいな、教会‥」


ぽつんと呟いた言葉。




「えへ~♪」


「あははは♪」



2人が楽しそうに笑い出す。



「なに?」



ワケがわからなくって、ハテナをいっぱい浮かべた私。



「必ず行こうっ!みぃっ」



って私の頭をぐりぐり撫でる優花と、



「いっぱいいっぱいいーっぱいお出かけしよぉ♪みぃちゃんっ」



って抱きつく柚子。



それから‥





「Gute Reise.」





私たちを見ながら、上品な笑顔でそう言った辰じぃ。



“グーテ ライゼ”

“良いご旅行を”





ん、そだね。

そうだよねっ!!




私も、みんなに混ざって笑顔になった。






ーーーーーーー‥






国が違っても空は同じ。





ふわふわした橙色が


凛とした紺色に変わる瞬間は


妖艶な紫色だった。





キラキラした星たちは金色で




そして




月は蒼銀に光っているんだ。