「う~‥」

「大丈夫?みぃちゃん」

「なんとか‥」

「耳抜き出来なくて具合が悪くなるなんて、面白いね」



あっはっはーと豪快に笑う優花。



「練習してから乗れば良かった‥」

「そういえば、みぃちゃんって泳げないんだっけ」



優花に便乗して笑う柚子。



「2人とも笑いすぎー!!」



ごめんごめんと2人にサンドイッチされながら、ぶすーってなる私。

でも、だんだん楽しくなってきて、一緒に笑い始めた。

空港で。


周りは変な目で見てたと思うよ?

ふふふっ♪



「柚子さま、お待ちしておりました」



そう言って深々と頭を下げた、

燕尾服で白手袋で
白髪のおじいさま。


顔を上げるとーー‥



「「寅じぃっ!!」」



優花と声が揃った。



「えー?違うよぅ?辰(タツ)じぃだよぅ」



「「え‥」」



また揃った。



「優花さまに、魅さまでございますね?お話はよく、寅から聞いております」



そう言ってニッコリ笑う顔なんて、おんなじだ!!



「辰じぃはぁ、寅じぃの弟なんだよぅ。ねー?」

「はい。よろしくお願い致しますね。優花さま、魅さま」



じゃ、兎じぃもいるのか?

とかそんな場合じゃなくって、


あんぐりと口が開くというのは、このことを言うのだろうか?




いや。




いやいやいやいや。


柚子‥あんた、どんだけお金持ちなんだよーー‥。



「どしたのぉ?ここがウチの別荘だよぅ」



優花と私はしばらく

開いた口がふさがらなかったんだよ?



「みぃちゃん、具合は?」

「え?あぁ、もうヘーキだよ♪ありがとう」



一気にびっくりしすぎて、具合悪いことなんて忘れてた。


お部屋は3人一緒。
充分すぎる広さだし、逆に1人の方が怖そうだ。



「ねぇねぇ、探検しに行こっ!」



瞳がキランキランしてる優花。



「じゃぁ、案内がてらぐるぐるしよっか♪あっ!ドイツ語も覚えなきゃねぇ」



ドイツ語の先生役に辰じぃを連れて、もう、屋敷っていうか城って感じの豪邸を探検しだした私たち。


ダイニングに行くだけで迷いそうだし、

なにより疲れる‥。



広いお庭で

休憩ターイムっ!!



‥休ませてーー‥