大きな大きなふかふかのベッドの上で

大きな大きな窓から見える、紺色の空を眺める。



静かに静かに瞳から溢れて落ちる涙は、

止まることを知らず

拭われるコトさえ‥ない。




「みぃちゃん‥」

「魅‥」



隣に座り、そっと頭を撫でる2人。

涙が顎にたまる度にタオルで拭ってくれる2人。



「ねぇみぃちゃん」



柚子が優しく問いかける。



「全部‥思い出したんだね?」



私は頷くこともできず、ただただ‥空を見ていた。



「つらいか?魅」



ツライ?



「思い出したことを後悔してるか?」



コウカイ‥?


私はただただ‥
人形のように、涙を流すだけ。



「みぃちゃん、柚子と初めて会った時のこと‥覚えてる?

桜が満開だった、入学式の時‥だよ?」


「俺が代理で代表挨拶を読んだ日だな」



ふふっと笑顔になる2人。



「入学式に遅刻する子なんて、初めて見たよ」

「ほんとだよなぁ」



私はずっと空を見上げている。



「教室に入ってくるなり、ゆーちゃんの名前を呼んでさ、面白い子だなぁって思ってたんだ」



私の髪を梳くコウくん。



「ゆーちゃんにしか懐かなくて、柚子、ちょっと寂しかったんだぞ」



うりうりしてくる柚子。



「自己紹介で、柚子が“五月女”だって事がわかってーー‥

言葉って凶器だね」



柚子は悲しく笑う。



「でも、みぃちゃんは“柚子は柚子でしょ”ってかばってくれたんだ」



私はきゅっと抱き締められた。



「みぃちゃん?」



柚子は、私の瞳を真っ直ぐに見据えた。



「銀崎先輩は、銀崎先輩だよ?」



柚子の瞳は、強く、そして清らかだった。



「言葉に流されちゃダメ。みぃちゃんの愛した人は、そんなに簡単にみぃちゃんを裏切る人だった?」



ソ‥ウ‥



「魅?蒼の言葉では、まだ何も聞いてないだろう?」



ソウノ‥コトバ‥



「蒼を、信じてあげてーー‥」



シンジル‥?






ーーーー‥






『もし‥その涙がアイツの為のものならば、アイツを信じてやって欲しい』


『君をずっとずっと探し続けたアイツを。君をすごくすごく愛してるアイツを』


『いつか、全てを
思い出しても』