許せない

許さない


人一倍 友達想いで

人一倍 優しくって



人一倍 悲しい想いをしてきたあの子。



そんなあの子に

あんな瞳をさせるなんてっ



灰田先輩も

コウシマも


そして


銀崎先輩も




許さない‥





ーーーーーー‥




「待ちなさいよ!」



走って走って追いついて、ガシッと灰田先輩の肩をつかんだ。



「なんだ。また黒猫がらみか‥」



気だるそうに振り向く彼女。



「みぃを黒猫呼ばわりしないで」



私は彼女を睨みつける。



「黒猫よっあんな子。関わったら不幸ばっかりだわっ!!ねぇ?謡太?」



不適にクツクツと笑う彼女は、横の男に目を向けた。



「コウシマ、どういうこと?この女と知り合いだったの?」



コウシマは気まずそうに下を向く。



「あんた‥みぃを大切に想ってたんじゃなかったの!?」

「想ってるよっ!
想ってるよ……」



声が小さくなっていく彼。うつむいた瞳には、涙が滲んでいた。



「あんた‥こいつとグルだったワケ?

みぃにキスシーン見せて、銀崎先輩を忘れさせて、声を失わせてっ!!

それで満足っ!?
サイッテーだね。あんた」



みぃが‥
どんな想いでーーっ



「ーーー‥っっ」



拳をふるふる震えさせながら、うつむいたままの彼。



「あたしと謡太は、姉弟なのよ。あの黒猫の所為で名字が違うけどねっ!!」

「は?」

「黒猫がうちに来てからなのよっ!うちがおかしくなったのは!」

「姉貴っ」

「あんの黒猫が。男と見ればスグにたぶらかしやがって!」

「やめろっ姉貴!」

「本当の事でしょ?うちの親が離婚したのは、あの黒猫のせいなんだからっ

あの子がいると周りまで不幸になるのよっ!!


あんな黒猫、いなくなれば良いのよっ!」





パシンっ!!!





私は、彼女の頬を力いっぱいひっぱたいた。


彼女は叩かれた頬を押さえながら、凄い目で私を睨んでいる。



その横で、みぃにそっくりな瞳を大きく開きながら固まっている彼。





私の頬を、一筋‥


涙が通っていった。