片翼の天使

理解不能。

いや、むしろ今日はピンクだし。

とか思ってる場合じゃない!なんだこのでっかい金髪は!?


私の頭がぐるぐるしだした時、



「はーいっ!僕は、海斗の起こし方に問題アリだったと思いまーす」



そう元気に手を挙げて発言する颯斗。

そして



「俺の人選ミスだ。ごめんな、魅ちゃん。忘れて?」



と、若干の紫オーラを纏った拓弥さん。



「で?」



って詰め寄るコウくんにチョップして、

素知らぬ顔して口笛を吹いてる海斗のコップに、牛乳を表面張力ギリギリまでついでやった。



「海斗、こぼさず飲めよ?」

「そーだぞ?せっかく魅ちゃんがついでくれたんだからな」



ってニヤニヤしてる2人。楽しそう♪



「えー?嘘じゃん海斗~ピンクじゃん」



って言ってるコウくんをなかった事にして、みんなで大笑いする。


楽しい。

とてもとても。



でも、この広い6人掛けのダイニングテーブル。



私の右隣は、すかすかしててーー‥


“あの人”の席なんだって事がわかる。



ねぇ。



あなたはこの輪の中に居る時、

どんな顔をするの?

どんな声で笑うの?


どんな瞳で‥私を見てるの?



私は、あなたのドコに惹かれて好きになったの?



1本に紡ぐコトが出来ない記憶のカケラと情報が、私の胸を締めつける。



「魅ちゃん?」



はっ!



「魅?大丈夫か?」

「まだ下着、気にしてんのか?」



颯斗と拓弥さんには『大丈夫』と笑顔を見せ、

海斗には足蹴りした。


声を失ってから私、暴力的になった?

なんて思ってみたり♪



「魅~♪またジェットコースターいっぱい乗ろうなっ」



って人懐っこい笑顔を向けるコウくんに、コクンと頷いた後、



『お・そ・よ・う』



って言ってあげた。

すると



「えー?魅もあんま変わんなかったじゃんかぁ」


とほっぺを膨らませる。

ふふっ柚子みたい。



「みぃちゃん終わったぁ?」



あら。噂をすればなんとやら♪



「みぃ、ピンクと黒どっちが良い?」



うわっ

さっき、そんな色の会話をした気がするなぁ‥。



「「あっははは~♪」」





楽しかった。
この空間が。


きっと、あの人が居れば‥もっとーー‥