片翼の天使


今宵の月は

まっぷたつ。


蒼銀に光る半分と

闇に飲まれた半分と



それを見上げる

狼と猫がいたんだ。





ーーーーー‥





その日、8人で食卓を囲んでも

8人でお話しても


何故か覚える
ーーー‥“違和感”


違和感を不安に思いながら、

【みぃちゃんのお話自由帳☆期間限定】

っておっきく書かれた自由帳を抱きしめた。


‘期間限定なんだからねぇっ’


って笑いながら書いてくれた柚子。



ちょっと嬉しかったりする。




ーーーー‥





翌朝。


まだねむねむしてたのに、柚子の楽しそうな声で起こされた。



「みぃちゃんっ!立てるぅ?」



そう言う柚子の手には、たっくさんのお洋服。


「んっと~んと~」って言いながら、着せ替えられていく私。


これはこれで楽しいんだけど♪



結局、白いパフスリーブのTシャツに紫とピンクのキャミロングスカートをすっぽりと着せられ

完了♪



と同時に、優花が「おはよー」って入ってきた。

そして


「可愛いーみぃー」って抱きつく優花。


「みぃちゃーん♪」って柚子が便乗。



そうしている他愛もない時間が大好きで、みんなで笑いあった。

私も声のない笑い声をあげていた。



「よし、行くよ?みぃ、柚子っ」

「うんっ♪」



私も『うん』って首をこくりと下げた。



今日は寅じぃの車ではなく、歩いた。

真夏の日差しはとても強く、3人とも日傘をさしていた。


優花は真っ黒。

柚子は上品なグレー。

私は真っ白。



柚子の家からあの家までは、20分くらい。

その間、ずっとずっと会話が途切れる事はなかった。



「ねぇみぃちゃん」



柚子が、私の顔を覗き込んだ。



「また、遊園地‥いこっか?」



少し切なそうな瞳になる柚子。

なぜ?



『うんっ』と笑顔で柚子に返すと、さっきまでの切なそうな瞳は無くなり、柚子も笑顔になる。



すると

「よぉし♪柚子、いつ取れそう?」

「あ、待って!聞いてみる」



そう言って電話をかける柚子。



ーーーーっ!!!!


また貸し切りにする気かぁっ!!!



「ピンポーン♪」



満面の笑みを見せるエスパー優花の瞳‥。


どこか、悲しそう‥だったと思う。