声が出ない。


それはすごく寂しいことだったけれど、すぐ治るみたい。


精神的なもの‥?
それらしい出来事に心当たりがないよ?


柚子が持ってきてくれた、カラフルなペンの山。

その中で、空の色に近い“蒼”って書いてあるペンに惹かれた。


私‥、青系 好きだったっけ?


そう思いながら、さらっと書いた質問。

それを見るなり、3人の顔色がみるみるうちに変わって行くのがわかった。



「みぃちゃん、銀崎先輩だよ?」



知らない。



「銀崎蒼だよ?みー」



ぎんざき‥そう?



「ほらっ5王子の内の1人!!」



ワカラナイーー‥



『私、会ったことある?』



そう書くと、3人は揃って悲しそうな瞳をした。




ーーーーーーー‥




優花が電話をしに行ってる間、私と柚子とよーちゃんは 絵でしりとりをしていた。


‥るあー→あいす→すいか→かつお→



「はい、みー!次は“お”だぞ♪」



“お”?

お~お‥お、おっ!


私は持っていた蒼のペンで“おおかみ”を描いた。


なんでだろ?

胸が少しだけ、“ズキン”ってしたんだ。






ーーーーーーー‥






優花は、長い電話を終えて戻ってきた。


もう太陽が傾きかけてますよー優花さん♪そんなことを思いながら笑ってた私。



すると

その後ろに、5人の男の子が1列に並んで立っていたんだ。



「魅ちゃん、ごめんね」

「「「「悪かった」」」」



そう言って頭を下げる5人にあわあわした私。


その時



「っんでテメエがここに居んだよっ!テメエの所為でみーはなぁーー‥」


よーちゃんの拳が振り上げられた。





ガンッ!!






そっと瞳を開けると、よーちゃんの拳は知らない男の子の顔横の壁に突きつけられていた。



「く、そー‥っ」



下がるよーちゃんに私は胸をなで下ろす。



「魅ちゃん?」



その綺麗な顔は、悲しみに満ちている。

それはみんなも同じだった。



「俺の名前は書ける?」


私はこくんと頷き、蒼のペンで『拓弥さん』と書いた。


それから、

『海斗』

『颯斗』

『コウくん』


と書いたけれど、


蒼っぽい瞳をした銀髪の男の子だけ‥


わからなかったんだーー‥