片翼の天使





門前の監視カメラに不審者ありとの報告が入り、私(ワタクシ)は急ぎモニター室に来ました。


モニターに映るのは若い女性を抱えた若い男性。


暴れているわけではないので、少し様子を見ましょうと指示を出した時‥


走って若い男性に近寄る、柚子お嬢さまがお写りになりました。

急いで音声を拾うと、抱えられている女性は魅さまであるとーー‥



私は医療チームをエントランスに待機させ、柚子お嬢さま達を待ちました。



皆さまびしょびしょに濡れており、私としてはすぐにでも お嬢さまに着替えて欲しかったのですが‥

お嬢さまは弱々しく今にも泣きそうな瞳で魅さまの名を呼び、私に託されました。



魅さまが以前お泊まりになったお部屋のドア前で待機をし、医療チームを待ちました。


出てきたドクターからは、魅さまは意識が戻らず‥あまり良くないとのこと。



それを柚子さまに伝えようとしたら、柚子さまはお察しになったようで‥



それから、勢いよく入ってこられた優花さまと共に2階へとのぼって行かれました。



残された男性は、魅さまに大変よく似た瞳を心配そうに曇らせておりました。


魅さまの容態を伝えると、


「みーを頼みます!」


と深々と頭を下げられました。

そして


「また明日‥来ても良いですか?」


と。



この方は、魅さまをとてもとても大切にしていらっしゃる。



そう‥感じました。




私は男性を家まで送り届け、帰って来て魅さまの部屋を覗くとーー‥



お2人は、魅さまを挟むようにベッドサイドの床に膝を付き、

魅さまの手をとって祈っておられました。



その光景がなんとも悲しく、お2人のすすり泣く声と共に

私も涙が出そうでした。



その後、お2人を無理やり湯浴みさせ、お食事をとってもらいましたがー‥


お部屋に戻るとすぐ

柚子さまと優花さまは、魅さまの手を握り‥祈り続けておられました。




その光景を、私は



3日の間ずっと‥



ずっーと見ることとなります。