片翼の天使



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夜空に輝く星々を
黒い雲が覆い隠してしまう。


蒼銀に光る事を忘れた、赤く笑う月は

闇の雲の隙間から

くすくすと笑っているのだろうか‥。







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「ねえ、みー?」

「なに?」

「もう1度 呼んで」



少し照れくさそうに言う彼は、あの時と変わらない笑顔。



「よー‥ちゃん?」



私まで恥ずかしくなる。



「お兄ちゃん、よーちゃんって言うの?」



彼の肩の上で遊んでいた小さなみーちゃんは、会話に参加した。



「おお。お前は?」



そう楽しそうに聞く彼は、とても子供が苦手とは思えない。



「みーちゃん!」



「え?」って顔をしてる彼に、「同じなの」 って教えてあげると


3人ともふふふっと笑顔になった。




それからーー‥

本部で放送をかけてもらい、小さなみーちゃんのお母さんを待っている間に

本部の目の前の露店で遊んでいた。


わたあめ屋さんのお爺ちゃんは、小さなみーちゃんが可愛いからってもう1個くれたし、


彼はジャンケンで勝ちすぎて、パイナップルを5本ももらってた。



頭の上でチリンって鳴る度に、蒼とあのお姉さんを思い出してしまって

胸がちくんちくんした。



彼と小さなみーちゃんは

時々フリーズしてる私に気付くのか、その度に微笑みながら頭を撫でてくれる。



小さなみーちゃんにまで慰められる私って‥。





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「みーちゃんっ!」

「おかーさぁん」



やっと再会できた親子。

みーちゃんは泣かなかった。


何度も何度も「ありがとう」と言われ、意外にご近所さんだったコトにびっくりして

「また遊ぼーね」と指切りげんまんした私たち。



小さなみーちゃんはお母さん似だった。

綺麗な顔立ち
真っ黒な髪の毛


瓜二つ。


私は、私のお母さんを思い出していた。




「みー?」

「ほぁっ?」



いきなり声をかけられたからびっくりした。



「ふふ。お前、オウジサマ達んとこに戻んなくて良いの?」




ーーーーあ。