祭が終焉を迎える。


ぱらりぱらりと帰って行く人の流れ。


逆流してゆっくりゆっくりと歩く私。




もやもやする。
うずうずする。
ちくちくする。




残してきた2人に
後ろ髪を引かれる私は、ココロが狭い?




盛大に散ってゆく、

フィナーレを飾る花火の音が響き渡る。


それと共に上がる
溢れる人々の歓声。




その中でふと、




「おかあさぁーん!うぇっく‥ひっく‥おかあっさ‥ん」




泣いている女の子を見つけた。




「お母さん、いなくなっちゃったの?」



その子の背丈に合わせてしゃがんだ私。



「う‥んっ、ひく‥」



真っ黒で柔らかい髪を撫でながら、



「お名前は?」



と訪ねる。



「みーちゃん‥」



わわっ!同じだ!



「みーちゃんかぁ♪お姉ちゃんも、みーちゃんなんだよっ」



そう言うと、小さなみーちゃんは



「おんなじだぁ」



って可愛い笑顔を見せてくれた。


ふふふっと、おでこをゴツンってして笑う2人。



「じゃあ、お母さんを探してくれるとこまで一緒に行こう」



立ち上がって手を差し出すと、わしって私の手を掴むみーちゃん。


あったかいその手は、とてもとても小さかった。



みーちゃんは、今年で6歳になるんだって。


お母さんの得意料理は、おせんべいなんだってニコニコして話してくれたけど‥


おせんべいって‥。



それから、通ってる保育園に好きな男の子がいることもこっそりと教えてくれた。




ふふ。




手をゆらゆらぶらぶらさせながら、

お祭りの本部まで小さなみーちゃんに合わせて歩いているとーー‥




「みー?」




と、後ろから呼ばれた気がした。

2人でぐるんと振り返ると、そこには‥




「あ‥コウシマ、くん」




黒い髪を立てて、Tシャツにベストを羽織り、細身のジーンズ姿の少しお洒落さんな彼は

女の子を2人、左右に連れていた。



あの時とは違う、軽そうな雰囲気‥。


優花や柚子が言ってたことが、わかる気がした。