片翼の天使



「銀崎くん?」



お手洗いに近くのコンビニまで来た私たち。

ひとりで行けるって言ったのに、蒼が付いてきてくれた。


用を済ませて外に出ると、蒼が優花くらい綺麗なお姉さんに話しかけられてるとこだった。



「魅、行くぞ」



少しご機嫌斜めな低い声。


右手を引かれて歩き出した時、



ガシッ



蒼の右腕を掴んだお姉さん。



「待って‥少しだけ待ってーー‥」



涙目で蒼を見るお姉さん。


手を振り解こうとする蒼だけど、お姉さんは引き下がらない。



「少しで良いの。少しだけ話す時間をちょうだい!」



その言葉は、蒼を通り越し“私”に言ってるように聞こえた。



「蒼‥」

「必要ない」



見上げる私を見ずに、無表情で答えた蒼。



なおも食い下がるお姉さんに、少し‥

少しだけ“同情”を覚えた私。



「蒼?少しだけなら‥」


私がそう言うと、蒼は大きなため息をひとつ長く吐いた。



そして



「すぐ戻る」



と、軽いキスをした。






ーーーーーーーー‥





それがいけなかったんだ。




蒼とあのお姉さんを一緒にしたことも。



1人でみんなのとこへ戻ろうとしたことも‥。




あんまり花火が綺麗に輝きすぎるから、


月が赤く笑ってることなんて




忘れてたんだーー‥