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真夏の風が肌をなぞる。
それ以上に熱い愛で溶かされそうになりながら
ひとつ、またひとつ
“幸せ”を積んでいくんだ。
お母さんが天使になり、両翼を失った。
銀色の男の子の言葉で片翼を預かった。
“仲間”という片翼を授かった。
そして今、銀色の男の子に片翼を返す時。
もう‥飛べるよね?
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「蒼?」
「ん?」
隣に寝ていた蒼が、顔だけこっちに向ける。
綺麗で優しい顔‥
「片翼‥」
「‥ああ」
「あの日の約束‥翼、返しに来たよ」
「ん」
私は、そっと蒼の唇にキスを落とす。
自分からキスするのは初めてだったから恥ずかしくって‥
全速力で体を反転させ、蒼に背中を向けた。
すると後ろから‥
「魅」
私の大好きな声で私の名前を呼び、後ろから抱きしめられた。
まだ一糸纏わぬ姿だった私たち。
直に伝わる体温が熱い。
「また俺の前からいなくなるな。ずっとここに居ろ」
蒼の腕がぎゅっときつくなる。
私は、その蒼の腕をきゅっと掴みながら
「うん」
って返事をした。
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今日は夕月夜。
昼間が長いこの夏も、もう夜になりかけている。
月が夜まで我慢出来なかったのかな?
新月だった月は少し太り、美しい弧を描いていた。
でもその月は‥
いつもの蒼銀の光ではなく、赤い赤い光を放っていた。
まるで、
誰かが笑っているようにーー‥

