片翼の天使

寅じぃにありがとうを言って、優花と柚子とバイバイした。

扉を開けると、リビングには蒼が1人ぽつんとプリントを読んでいた。



「おかえり」



プリントから瞳を上げて、ふっと微笑んだ愛しい彼。



「ただいまっ」



私も笑顔になる。

何読んでるのかな?


ひょいっと蒼の横に座れるようになったのは、成長だ。



「スコア」



ーー‥スコア?



「楽譜のこと」



おお!

エスパーが増えてゆく♪



「ふっくっくっ‥」



急に笑い始めた蒼。



「お前、顔に出るもん。」



なんかそんなこと前にも言われたな‥。



「音楽祭のだよ。タクと組むやつ」

「何やるの?」

「三線と歌」

「三線って三味線?」

「そ」



三味線やりながら、蒼が唄うの?

‥かっこいいかも。



「蒼って運動得意?」

「まあ、やればできる」



そう言ってクツクツと笑う蒼。



「蒼って身長いくつ?」

「188.8」



え゛!?



「そんなにあったんだ!」

「あー‥いつもコウがいるからな」



蒼が笑うと私も楽しいっ。

私の質問に1つ1つ答えてくれるのが嬉しくって、私の顔は崩壊寸前だった。




「私、蒼のこともっと知りたいっ!」




そう言った瞬間、眺めていたプリントをパサッと置いて急に真剣な顔になった蒼‥。




「そ‥ぉーーんっ」



ひとつ深いキスをされ、ひょいと持ち上げられた。




ーーーー‥え?




「教えてやる」



はっ!

なんか私、変なスイッチ押した!?



「ちがっ蒼!そういう意味で言ったんじゃなくって‥」



蒼はニヤリと意地悪く笑いながら、私の瞳を射抜く。

私はこの瞳に弱いわけでーー‥




『俺のモン』の印は、どうやら消えることがなさそうです‥。