片翼の天使

遅ればせながら体育館へ行き、列に並んだ。

毎度私の場所を空けといてくれる、後ろの男の子に感謝です。

名前‥知らないけどね?


ちょっとだけ後ろを向いて、


「いつもありがとう」


と言ってみる。

意外に背が高くてびっくりしたわ。


そしたらいきなりガシッと頭をつかまれ、前に向かされた。



「魅。前向けっ」



犯人は、ちょっとお怒りモードのお隣のコウくんだ。


なんで怒ってるんだろ‥?



終業式は着々と進んでいき、次は夏休みの注意とやらだ。





ギャーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!





女の子の黄色い歓声が、このだだっ広い体育館を支配する。

この学校の女子は叫ぶの好きだなぁ。



「こっち向いてー」
「拓弥サマー!」
「今日も素敵ですー」

えとせとら‥



ここはコンサート会場かっ!!!


行ったことないけど。




「大丈夫か?魅」



うぅ‥前にもこんなことがあった気が‥


私は、首を縦に2回振って無事を伝えた。





キィーーン‥





「静かに」




ーーし--‥ん‥





一言でそれらを黙らせる拓弥さんは、素晴らしすぎです!





ーーーーーーーー‥





私は、長く人の話を聞くのがニガテでして‥

今もまたうとうととし始めた頃、





ウギャーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!



はっ!!!
本日2度目の女の子の黄色い悲鳴ー!!





もう‥だめーー‥





頭が割れる‥

意識が遠のく‥

耳が遮断されてく‥



スローで体が後ろに倒れていくのが分かる。




目の前が真っ暗になる瞬間、壇上に見えたのは‥


大好きな蒼銀髪の彼の、後ろ姿だった。





ーーーーガシッ‥