「みーぃー」



前からわしっと捕まった私は、頭をこねくり回される。



「みぃちゃん!なんかぁ、もっと可愛くなったぁ♪」



柚子にも挟まれ、サンドイッチの具の気持ちがよく分かる‥かも。


昨日、やっと蒼に想いを伝えられてー‥もにょもにょ‥して、

と‥取り敢えず、
お付き合いが始まった訳であります。



今日の登校は6人だったけど、いつもみたいに手を繋ぐのはコウくんじゃなくって‥


蒼が


「ん」


って手を出してきたんだよぅっ!!



恥ずかしかった。

でも嬉しかった。



いつもの通り道にいる女の子たちが、いつも以上にわきゃーーってなってた。

でも、蒼は私のモンだもん♪


本人には絶対に言えないけど‥


んで、そこを優花と柚子に目撃され、今に至る‥と。



「いやー。出待ちの女の子はさておき、男の子たちの反応が楽しかったねっ」



すっごい楽しそうな優花。

学年選抜に選ばれた時よりも楽しそうかもっ。



「だよねぇっ、ゆーちゃんが彼氏さんを連れて来た時以上に楽しかったぁっ」



なぜか1人だけ蚊帳の外な私をよそに、2人はわきゃわきゃしてる。


一応‥祝福されてる‥んだよね?



ふふっ



「お前らわーきゃーわーきゃーうるせーぞ。早く体育館に行けー」



そう叫びながら、顎でくいっと廊下を指す紫藤先生。


いつの間にか、教室には私たち3人しかいなかった。



「黒姫よぅ。終業式まで遅刻かと思ったぞ」



そう言ってニカッと笑った先生は、私の頭をわしゃわしゃと撫でた。



「奏さんの分まで幸せになれ」



蒼と同じくらい声が低い先生。


去り際にかけられた祝福の言葉は、私には聞こえなかったんだ。