片翼の天使



ぎゅっと抱き締められてる私。


切なそうに私を呼ぶ海斗ーー‥



ごめんね、海斗。

私‥蒼が好きなの。


海斗の気持ちには応えることが出来ないのーー‥



ごめんね。そして‥




「ありがとう。海斗」



私は、海斗の背中に腕を回して少しだけぎゅっとした。



「魅ーー‥っ」

「海斗?私を好きになってくれてありがとう」

「ーー‥ん」

「でも、海斗の気持ちに応えることは出来ない。

私は、蒼が好き‥」

「ん」

「でもね、ずっと一緒に居たい」

「ーーー‥ん」

「みんなで一緒に騒いでいたい」






「ん‥」






「わがままで‥ごめんね?」

「あぁ‥。ほんとにお前はわがままだな」



海斗はそっと体を離した。


そして、その茶色い瞳を私に合わせて‥



「蒼に泣かされたら、いつでも俺んとこ来い!」


そう言って、いつもの意地悪な笑顔を私に見せた。



「うんっ!」



私も、全開の笑顔で返す。




私ね、


拓弥さんも

コウくんも

颯斗も

そして海斗も。

みんな大好きだよ?



でもね、

蒼は“特別”なの。



私の身体がそう言ってるの。



私は、海斗が出て行った洗面所で


蒼を想い、

蒼を求めて


あの歌を唄う‥。






ーーーーーーーー‥






ウサギの瞳はね、
赤いんだよ?



それは、

大切なものを守ろうとして


たくさん

たくさん


涙を流したから‥



なんだろうね。