ベッドまで運んでも、
まだすやすやすやすやと眠っている魅。


その寝顔はとても可愛くて‥


そっ‥と頬を撫でる。



涙が‥出てきそう。


きっと、蒼に向かって歩いて行くであろう魅。



俺の手には入らないーー‥。




切なくって‥

寂しくって‥



涙が出そうだった。




ガチャ‥




ドアへ目を向けると、蒼が立っていた。


何も言わず、


ただただ‥俺を見ていた。




ーーーー‥




「なぁ、蒼?」

「ん?」



今でこそ無愛想で無口なやつだけど、昔はよくこうやって優しく笑ったんだ。



「大事にできるか?」

「ああ」

「絶対?」

「絶対」



蒼の強い眼差し。

決意と約束。


大事な時は必ず、
この瞳をする。



「洸一朗‥」



蒼が、響く声で俺の名前を呼ぶ。



「みんな居るから」

「‥え?」

「お前の側から離れたりしない」



“離れて行かないでーー‥”



「置いていったりしない」



“置いて行かないでーー‥”



「うんっ」



俺は、ちゃんと笑えていたかな?



ねぇ魅?


大好きだよ‥。



だから、



幸せな顔、見せてね?