片翼の天使

時は放課後。


空はしとしとと泣き出し、同じように

私も、泣きたい‥。


なんでー

私だけー

ホチキス止めなんだー


しかもこの山!!



3人は、このプリントの山を運ぶだけで解放された。


どゆこと?

手は確実に動かしつつ、頭は完全にフリーズモードに入った私。



ガラ‥



「おぉ、進んでんな。黒姫よ」



このお方には、進んでいるように見えるのでしょうか?

不思議です。



「お前さぁ」



さりげなく手伝い始めながら、話しかける紫藤先生。



「歌、未完成なんだな?」



ーー‥え?



「奏さんがさ、“魅の歌はまだ未完成なの”っていつも言ってたんだよ」

「どういう‥ことですか?」


「今日、お前らが屋上で唄ってんの聞いてたら思い出したんだな。

完成の答えは、“あの歌の意味にある”ってさ」




あの歌ーーー‥





『このお歌の意味を教えてあげようか』





ーーーーーー‥あ‥



「お前がその歌の意味を理解したら、お前の歌は完成だ」

「かん‥せい?」

「おぅ♪多分、もう少し‥だな」



先生はそう言って、ニカっと少年のように笑う。


ガラガラ‥



「魅、終わったぁ?」

「あれ、コウくんだ。優花と柚子は?」

「ああ。もうこんな時間だしなぁ。寅じぃが迎えに来たから帰ったよ。

メール、入ってない?」



……あ。来てる。



「黒姫。今日はもう帰って良いぞ♪」



私の頭をわしゃわしゃと撫でながら、準備室から追い出す先生。



追い出された私とコウくん。


下駄箱で靴を履いてまた合流。



「帰ろうか、魅」



すっ‥と差し出された左手。


私はなぜか、その手を取ることが出来ずにぼーっと見ていた。



「魅?」



蒼とは違う手。


同じ“手”なのに

取ってはいけない気がしたんだ‥。



その時、

ふわっと抱きしめられた私の身体。

背の低い私は、すっぽりと腕の中におさまる。



「‥魅」



いつもより低い声で私を呼ぶコウくん。




「俺、魅が好きだ」