片翼の天使

それから、

『先生より後に教室に入ったら遅刻決定!』

というルールで、5人は全力でダッシュした。


結果‥

4人とも惨敗‥



「はぇーよ‥ぜぇぜぇ‥」

「はぁ‥はぁ‥まじ有り得ない。先生いくつよ?」



柚子と私は声すら出せない……



「お前ら、俺を音楽教師だと思ってナメすぎだっ」



先生は息ひとつ乱れてない。アリエナイ!!



「じゃ!お前ら4人は放課後、音楽準備室に集合な♪」



ニカっと少年みたいに笑う先生は、いつになく楽しそうだ。



「「「「ふぁーい‥」」」」



4人揃って気のないてきとーな返事をしといた。




キーンコーンカー‥





4時間目。


まだ雨が降ってなかったので、私は黄色い扉を開けまた屋上へとサボ‥

あいや、息抜きに来た。


7月になろうとしているこの時期。

風は湿っぽく、生暖かい。


私はいつもの赤いベンチに寝転がりながら、

蒼のことを‥考えていた。



『好きだ』



好きってどういう感じデスカ?

この間、優花に聞いてみた。


“一緒に居たいって思うことかな?”



‥一緒に居たい?

私は8人で一緒に居たい。



“じゃー、自分のモノにしたいって思う感じ”



ーーーー‥あ‥



『お前は俺のモンじゃねえのかよ?』



‥蒼は、私を自分のモノにしたい‥の?



“でもやっぱり、隣に居ると楽しいのよね”



ーー‥楽しい?



“そ。わくわくする‥ってか、ドキドキする?
みぃも、もうすぐ分かると思うよ?”



ーー‥むーん‥




聞いても聞いても頭はぐるぐるするばっかり。



その時、

ふわっと風の向きが変わり、“音”が聞こえた。

その音に吸い込まれていくように足を進める私。



ーー‥っ



反対側の校舎の屋上。


あの日と同じ‥


目を惹く蒼銀色の髪

遠くを見つめる瞳




ーー蒼だ‥。




蒼が‥唄ってる‥。




胸がきゅぅんと苦しくなる。


どきどきが早くなる。




ねぇ‥



この感じは



ーー‥何?