この中は相変わらずおっきくて、広くって、声が心地よく響く空間。
1番前のステージには、ハープも置いてあった。
ステンドグラスからきらきらと差し込む朝陽がステージだけを照らし、
まるでそこだけ‥
‥異空間みたいだった。
「とりあえず、ハープとパイプオルガンの楽譜あげるねぇ♪」
曲を決めたら、歌詞は私が作ることになっていたんだ。
「金成くん、初見いける?」
「もちろん」
朝陽の導く光の中へ入って行った2人は、とても絵になる。
2人でアイコンタクトを取り、弾き始めた。
~~~~~‥♪
パイプオルガンの重低音と、アイリッシュハープの流れるような音‥
「綺麗ねぇ‥」
柚子がおとなしくなった。
私も、その見目の麗しさに、奏でいずる音色に。
夢を見ているみたいだった。
あれ?
ふっと横を見ると、柚子がいない。
柚子はいつの間にかステージへ上がり、舞い始める。
優雅に大きく
流れる音色に身を委ねるように‥
私も無意識にステージに上がり、歌の言の葉を紡いでいた。
~~~~~‥‥♪
音楽が鳴り終わり、一瞬の静寂‥。
ぱち‥ぱちぱちぱち‥
ーー‥え?
「今年は1年から王者が出そうだなっ」
「「「「紫藤先生っ」」」」
「いつからそこにいたんスか?」
「ん?あーー‥
“初見いける?
ーーーもちろん♪”
あたりから?」
あっはっはと楽しそうに笑う先生。
「結構、最初っからいたんじゃん」
ふふっと笑う優花。
「ぷはっ、だな」
楽しそうなコウくん。
5人の笑い声が、大聖堂に響く。
「あれぇ?そういえば先生、なんか用なのぉ?」
柚子がごもっともな質問をする。
「あ?そうだった。
お前ら4人とも、
ーーー‥遅刻な♪」
「「「「え゛!」」」」