片翼の天使




どきどきどきどきどきどきどきどき‥



鼓動の1つ1つが指先で確認できるくらいに大きくて、

‥早い。



逆に

外はとても静かで。


まるでこの世界には、

私と蒼‥2人だけのような気さえした。





ーーーーーー‥




わしゃ‥


おっきな手が、私の頭を撫でる。



「ゆっくり考えてくれ」



切なそうな微笑を浮かべる蒼は、立ち上がってドアの方へと歩いてく。



「10年も待ったんだ。もう少しぐらい待てる」



蒼の声は、低すぎて聞き取れない時がある。



「‥蒼?」



すると蒼は、その綺麗な顔をこちらへ向けた。



「もう飯の時間だ。降りるぞ」



「おいで」って言いながら差し出されたその手を、まるで


“行かないで”


とでも言わんばかりに、小走りになってつかむ私。



蒼が「ふっ」と一瞬だけ声に出して笑う。

それだけで、


私の心臓は大きく鳴いた。