闇が帳を降ろした
丑三つ時。
辺りは しん‥ と
静まりかえっている。
私たちを照らすのは
厚い雲の隙間から覗いた月の光だけ‥
さわさわざわざわと
揺れる木々は青々として
春は終わりを告げようとしている。
ーーーーーー‥
海斗にも聞かれたその言葉‥。
私は、
“異性を愛する”
ということをねじ曲げられて育っている
‥と思う。
だから、
蒼と居るときのこの
どきどきとか、
コウくんと居るときのこのどきどきが
何を意味するのかが
ーー‥わからない。
ーーーーーー‥
「わからない‥の」
「ん?」
「異性を好きになるってどんな感じ?
‥わからないの」
それを聞いたら、胸が空っぽになるような気がした。
でもっ
コウくんになら聞ける気がしたんだ。
「俺も‥わかんない」
まただ‥
私は、コウくんがこの顔で微笑んだ時“どきん”ってなる。
『わかんない』って言ってるコウくんは
少しだけ楽しそうで
少しだけ‥寂しそうだった。
ーーーーーー‥
空が泣き始めた。
一雨ごとに暖かくなるこの季節。
湿り気を帯びた空気はちょっとだけ寒くて‥
無意識に両腕をさすっていた私。
するとふわっと
最初にこのお家に来て
最初に私を座らせた時みたいに
あったかい大きな手を、
私の冷たい小さな手に重ねた。
そして
私の体を包むように
抱きしめたんだ。
丑三つ時。
辺りは しん‥ と
静まりかえっている。
私たちを照らすのは
厚い雲の隙間から覗いた月の光だけ‥
さわさわざわざわと
揺れる木々は青々として
春は終わりを告げようとしている。
ーーーーーー‥
海斗にも聞かれたその言葉‥。
私は、
“異性を愛する”
ということをねじ曲げられて育っている
‥と思う。
だから、
蒼と居るときのこの
どきどきとか、
コウくんと居るときのこのどきどきが
何を意味するのかが
ーー‥わからない。
ーーーーーー‥
「わからない‥の」
「ん?」
「異性を好きになるってどんな感じ?
‥わからないの」
それを聞いたら、胸が空っぽになるような気がした。
でもっ
コウくんになら聞ける気がしたんだ。
「俺も‥わかんない」
まただ‥
私は、コウくんがこの顔で微笑んだ時“どきん”ってなる。
『わかんない』って言ってるコウくんは
少しだけ楽しそうで
少しだけ‥寂しそうだった。
ーーーーーー‥
空が泣き始めた。
一雨ごとに暖かくなるこの季節。
湿り気を帯びた空気はちょっとだけ寒くて‥
無意識に両腕をさすっていた私。
するとふわっと
最初にこのお家に来て
最初に私を座らせた時みたいに
あったかい大きな手を、
私の冷たい小さな手に重ねた。
そして
私の体を包むように
抱きしめたんだ。

