脱衣所のドアを開けた瞬間、身体の中心がきゅぅぅんとなった。
ーー‥っ
このお風呂場‥
この脱衣所‥
心臓がまた労働を始め、お腹の奥が苦しく締まる。
蒼と2度目のキスをした場所ーー‥
やだ‥思い出しちゃう。
心配そうな蒼みがかった瞳。
力強く抱きしめる筋肉質な腕。
低く響く綺麗な声‥
更に顔が熱くなる。
なんか‥
私、さっきからおかしいよね?
熱い顔を冷やしたくて急いでシャワーへ向かう。
このお家のお風呂はすっごいおっきくて、温泉みたい。
湯船なんて私が10人くらい入れそうなんだっ。
ライトは小さいのが1つしかなくて薄暗いーー‥
でも。
奥の大きな壁はほとんどがガラスで。
満月の日は、とてもとても綺麗だと思う‥
あ、外からは見えなかったよ?
もちろん確認しましたとも!
窓から見えるこの家の広い庭は、
春から夏へと
季節が移り変わろうとしている‥
ーーーーーーーー‥
ぬるめのお湯を
頭からかぶる。
少し‥落ち着いたかな。
上から順番に洗い流して、髪の毛を1つに束ね、湯船に向かう。
見えないとはいえ、やっぱり外が見えるのは恥ずかしくって。
バスタオルを巻いて入るのです。
いつものように、シャワー側のフチからゆっくりと足を入れる。
あったかいーー‥
真ん中辺りまで歩き進むと、何かを蹴った。
ーーーーー‥
「うーー‥ん」
ひ‥ひとっ!?
恐る恐るその人に触れて、揺する。
「だ‥だいじょうぶですか?」
ーーーーー‥
「み‥いる?」
はっ!
その声‥
その髪の色‥
「こ‥コウくんっ!!」