ーーーーーー‥
「あの日、先に出会ったのが蒼じゃなくて“俺”だったら‥
とか考えてんの?」
「ーーーーー‥っ」
「ばっかみてぇ」
「ーー‥っ、」
「お前なら奪いに行くと思ったけど?」
「あ゛?」
「お前なら、相手が蒼だろうが誰だろうが奪いに行くと思ったって言ってんの」
「ーー‥無理だって。
ーーーー‥っ!!
無理なんだっつってんだろーが!!」
「あそ。お前が諦めんのは勝手だし」
「ーーーーーー‥」
「なら僕はーー‥」
「…………」
「遠慮なく、奪いに行く」
「ーーーーっ!!」
「僕は魅が好きだ。
でもまだ、魅の口から
“蒼が好きだ”って聞いた訳じゃない。
だから奪いに行く」
「はや‥と?
おまっそれ本気で言ってんの?」
「あぁ。
だから、お前はここでめそめそ泣いてれば?
魅は僕がもらう」
ゆらゆら揺れる
オレンジ色のゴンドラの中。
ゆらゆら揺れる‥
2人の影ーー‥
対角線上に座り、
左右対称に足を組み
左右対称に肘を付き
左右対称に外を見る
双子のウサギの瞳は
違う方向を向いていても
同じ猫を映しているーー‥
都会の星がきらめく。
これがもし
流れ星ならば
猫が欲しいと
願っても‥
良いですか?