胸くそ悪い。

いつもみたいな告白を

いつもみたいに返して終わらせる。

いつものことだ。


だれも俺等を見分けることは出来ない。


幼なじみは‥まぁ分かるかもな。完璧じゃねーけど。



今日もまた、いつもみたいに終わったと思った。

そしたらいきなりくしゃみらしき音が‥


ってか『へっくしょぃん』てなんだよ。

ぷぷっ



さすが双子。

考えてる事は同じで、目を合わせた途端に同じように腰を低くして歩き始めた。


左右にまわってこっそり近づく。


そこに居たのは女の子だった。



真っ黒な猫っ毛でふわふわした髪の毛。


いつもなら、僕等から女の子に声をかけるコトなんてないのに。



声をかけたらびくってなった。

顔が見たくて正面に座ると、俺・僕等は言葉を失った。



溢れんばかりの、真っ黒で大きな瞳。

緑光りするような真っ黒でふわふわな髪の毛。

白い肌で足や手首が壊れてしまうんじゃないかってくらい細い。



沈黙が流れてる間、ずっと彼女を見てた。

見とれてたんだ。



表情がコロコロ変わる。
面白い。



自分で自分の頭を叩いて

勝手に涙目になってる。



面白れぇヤツ。


海斗の問いかけに
やっと発した声。


凛とした、透き通るような声。



不覚にもドキッとした。



名前は黒姫ちゃん。

名前を言う時の彼女の顔は、なんとなく悲しそうで‥。


思ってることは2人とも同じ。

彼女のこと、もっと知りたいと思った。



「‥魅。‥黒姫 魅」



黒姫魅‥なんて美しい名前なんだろう。