2人で観覧車なんて乗った事ねぇ。
ましてや
友達と遊園地ってのも初めてだったりする。
乗り込んだオレンジ色のゴンドラは少しずつ上昇を始め、紺色の空へと
ーー‥吸い込まれる。
ーーーーーー‥
「で?」
「んあ?」
「ハナシ、あんだろ?俺に」
「ーー‥ああ」
「俺がわかんねぇとでも?」
「だよな。くくっ」
ーーーーーー‥
「諦めんだ?」
「あ゛?」
「お姫さまのコト」
「…………」
「僕がわかんねぇとでも?」
「だよ‥な」
ーーーー‥
「んで?」
「ーー‥‥わかんね」
「お前はそれでイイんだ?」
「ーー‥っ
良かねーよ!!!
でもっーー‥っ」
「でも?」
「だってーー‥」
「だって?」
「あいつは、蒼が昔から探してた“真っ黒で真っ白な女の子”なんだぞ?」
「‥知ってるよ。あの日、コウが
“蒼と同じ歌を唄ってた女の子が居た”
って騒いでたし」
「わっかんねぇんだよっ!俺‥俺、こんな感じになんの、初めてだ‥」
「あぁ‥」
「あいつは‥あいつらはーー‥っ
蒼があの歌を唄う。
あいつがあの歌を唄ってた。
それだけでっ!!!
それだけで‥
俺が入る隙間なんてーーーー‥
ねえじゃねーか‥」
ーーーーーーーー‥
ウサギの瞳は真っ赤なの。
きっと、
大切なものを守りたいと
たくさんたくさん
涙を流した所為‥なんだろうね。