片翼の天使

エントランスの扉を開くと‥

白い、長い、ピカピカの車がとまっていた。

お引っ越しの時の車とは違う気がする。



「柚子様、お待ちしておりました」


と、私たちを見るなり
一礼した燕尾服で白手袋のお爺さま。

いつも柚子を迎えに来てる運転手さん。

寅(トラ)じぃさんです!


車のドアを、なんとも優雅に開く。



「寅じぃ、ありがとぉ。さっ、みんな乗ってー」




ーーーーーー‥





広っ!!!


コの字型になった椅子は、男5人を含む8人をいとも簡単に飲み込む。

右サイドは拓弥さんと優花。

左サイドはコウくんと颯斗と柚子。

センターに海斗と蒼さん。

それと、2人に挟まれた私‥


気まずいかなぁ~‥なんて少し思ってたけど、普通だった。


いつもみたいに。

コウくんと柚子が私に抱きつこうとして、

それを蒼さんが一生懸命に止めて、

海斗と颯斗が爆笑して、


あれ?優花と拓弥さんは‥何やら話し込んでいる。


‥この2人って、もしかしてーー‥



すっごい仲良しだ!!



「みぃちゃんみぃちゃん!!」



いきなり窓を開けて

「お外を見てぇ」



ってわきゃわきゃとはしゃぐ、柚子とコウくん。


この2人はとても可愛い‥。ほんわかするの。

身長が違いすぎなんだけどっ。



そして促されるまま外をみればそこにはーー‥



ゆっくりと動く、おっきな輪っか‥



「観覧車だぁーっ」

「みぃ、遊園地に行きたいって昔から言ってたもんね」



そう笑う優花は、第2のお母さんの顔になっていた。



そう。

遊園地なんて、夢のまた夢かと思ってた。



私の16歳の誕生日。

どこまで幸せなんだろう。

どこまで楽しいんだろう。



私は、顔が緩むのを止められなかった。



端から見れば、すごくすごく気持ち悪かったろうに‥。



遊園地の入り口におろしてもらった私たち。




あ、れーー‥?



ーー‥人‥居る?