「海咲ねぇは、いつもお母さんのこと考えてるよね。
そこが、あたしと違うとこの一つ。っていうか、この一つが大きいのかな。」
残りの階段を下りる。
「おばちゃん、お邪魔しました。
当分はお世話になることないと思う。」
あたしは、俯きながら靴を履く。
「あらそう?またいつでも来てね。海波ちゃんなら大歓迎よ。」
心配そうな顔のおばちゃんを見て、あたしはニカッと笑い、手に握られたアイスの棒を渡す。
「おばちゃん、当たっちゃった。今度来た時もう一本ちょうだい。」
棒を受け取ったおばちゃんは、優しく微笑んだ。
「大きいの用意しとくわね。」
あたしは手を振り、玄関を出た。


