俺達が、そんな会話をしている時。


「集合ー」

懐かしい声が体育館に響き渡った。

そうすればすぐに騒がしかったボールの音は消え、全員が一斉に駆け足でその声のもとへ走る。
自分が輪の外にいるとなると足音がやけに大きく聞こえる。


「なんだ?」
樹裕が驚いて振り返る。
「いつものことだよ。部長が話すのは当り前だろう」
俺もその光景を眺めながら言う。


「朝練はこんなもんでいいだろ。また今日の午後は外周走り込みから始めるから。グランドに集合だ。忘れんじゃねーぞ」

淡々と話す先輩の姿はやはり、今見てもかっこいいと思う。

「ウスッ」

そう考えるとやはり、この中に自分がいないことが本当に悲しく思えてくる。


「そんじゃ、授業遅れんなよ。解散!」