「ふーん。つか大抵そうじゃね?」
「あ?」


樹裕は腕を頭の後ろでくみながら言う。
「いや、第一他人からしても大事なことって少なくねーか?」
「え……。あ、そうかもな」

「実際にその人が苦労したっつう人生を、2分や5分聞いたところで結局生まれてくるのは同情だけだろ?」
「それわかるかもな」

「だから、俺は自分からしたらたいしたことじゃねーの前提に聞いてるから」


ハハハ、と笑って冗談まじりに言ってるようにも見えるがちゃんと言っている内容は的を得てるからすごい。


勉強とかは知らないけど(失礼だがそっちの意味ではバカそうだ)頭は悪くないんだな、と素直に思った。




「んじゃ、そろそろ行きますか?」
「お、おぅ……」


ヤベ、ちょっと緊張してきた。