「でも樹裕みたいに、そこまで必死になって戻りたいっていう奴初めて見た」
「んだよ」
「天使相手に物分かりが悪いって言うかなー。食い下がらないっていうか」
「バカにしてんのかよ?」
俺が睨むと樹裕は慌てた様子で
「違う、違う!」
と否定した。

「そうじゃなくてさホラ、由也ってさ、最初はワガママな奴なのかと思ったけど案外話してみるとそんなことねーし、よっぽどのことがあんのかなって思ってさ」

樹裕は笑ってそう言う。

「よっぽどのこと……」


もうすぐバスケの試合があって。
その試合に今まで全員かなり真剣に取り組んでて。
それなのに目前に俺は死んで。


俺は、行って何がしたいのだろう。


「分かんねえ」



俺からしてみればこれはかなり悔しいことなんだけど、それ以上に申し訳なくて。
でももっとそれ以上に……。
何か分からない気持ちがあるんだ。