「まず、１パターンめな？」
「おう……」


「お前自身もそうだろうから分かると思うけど、ここに来る奴みんな案外はっきりと死んだ瞬間の映像を覚えてんだよな」
「あぁ、覚えてるな」


そう、俺はあの日トラックにひかれ、意識を飛ばした。
その間にすぐ近くにあった喫茶店のガラスにうつっている血だらけの自分を確かに見たのを覚えている。

「だろ？　それに同時に死ぬ奴なんかこの世にゃ数えくれねーほどいる。それに対し天使さんはそんなに数いる訳じゃないから、死んでからここにこれるまで結構時間かかるんだよ」
「そういや、俺も結構並んだ」

死んだ人間は、すぐに天国に来れるわけではなく、門番の役割を果たす天使たちが1人1人の行き先……天国か地獄か。その大きな別れ道に指示を出すらしい。

で、当り前に俺も長い間並んだ末に此処、天国へ行くように指示を下された、というわけだ。

「それで、みんないろいろと自分の力で頭の中整理しちまうんだよ」
「そーだろうな」

「それでなんか冷静に自分の死を受け入れておしまい。な、人が多い」
「あぁ、そういえばみんな案外あっさりとしてんな」


「だろ?それが俺の見るまず１パターンめ」
「ん。じゃ、もう１つは?」