「へ?」

その子はきょとんとして振り向いた。その手には、カッター……カッター!?

「……なぜカッター?」

小さな沈黙のあと、女の子(よく見たら女の子というのがわかった)はああ、とつぶやいた。

「お兄さんはじめまして」

「ああはじめまして……って、質問に答えようよ」

「うん?挨拶は基本だよ?」

にこりとして首をかしげる。色素の薄い髪がふわりと揺れた。

「まあそりゃそうだけど。で、なんでカッターを持ってるの?」

「死のうかと思って」

……うん、まさかそんな重い事を即答してくれるとは思わなかった。

「えーっと。一応何で死にたいのか聞いとこうかな」

すると女の子は少しびっくりしたように目を丸くした。