ききー――

校門前に着くと、車が止まる音がした。



「波留先輩の車だよ、ベンツだって!やっぱり金持ち」


「ふ~ん、お金持ちっていっても親がでしょ?」


「あー莎夕はさめてんね」

だって本当にそうじゃん。

自分で稼いでる訳じゃないんだから。



「おい、じゃまだ」


そんな声が聞こえたけどあたしに言ってないと思ってそのままでいると



「邪魔っつてんだろ?どけよアホ女」



本郷波留先輩は、あたしの肩を掴んで、思い切り睨んできた。



「な、なにするんですか?」


「お前が、俺の前にいるからだよ」


「自分が避ければ良いのに…我が儘」


ボソッと言ったのが聞こえたのか、本郷波留先輩は眉間のシワをさらに寄せていた。



「いい度胸してんなぁ?お前」


「げっ……い、行こう!世南」


「う、うん」



あたしと世南は、その場から逃げるようにして教室に向かった。



後ろからは、本郷波留先輩のファンの人たちの、黄色い声と


あたしに対する罵声が聞こえた。