不器用なシタゴコロ


お…落ち着けっ!!

落ち着くんだ、私っ!!





でも。

後ろからフワッと流れてくる甘すぎない爽やかな香りは。

私のドキドキを高める要因でしかなくて。





「どれだかわかんないって」





耳元でとーやクンが声を発する度に。

私の体温急上昇。





「あ、あれだよっ!!」

「んー?どれだー?」





自分でもなにを指差してるのかわからなくなってきた。





…あぁ、もう。

ホントに熱出そう…。





なるべくとーやクンに触れないように小さくなって俯いていると。





フッ。





「う、ひゃあっ!?」





突然、耳に感じた生暖かい空気。


な、な、なっ…。

今、耳に息吹き掛けたっ?!





耳を押さえて。

思わずとーやクンの顔を見上げると。





「…顔、上げなきゃ魚見れないよ?」





…そこには。

意味ありげに。

且つ意地悪そうに。

唇の端っこを持ち上げたとーやクンが微笑んでいた。