なにそれ?!
ヒドくない?!
いくら膨れてるからって。
ハリセンボン?!
「ほら、膨れっ面そっくり」
「…っ!!」
そう言ってまた笑うとーやクンは。
私の頬を突っついた。
「あ、あれなんかとーやクンそっくりじゃん!!」
「え?どいつ?」
頬を突つかれ。
熱くなった顔と。
いつもより早く鼓動を打つ心臓を落ち着かせるために。
水槽の向こうを指差した私。
なのにとーやクンは。
私を後ろから抱きしめるように。
水槽手前のバーに腕をついた。
「ゆずサン、どれ?」
耳を擽るとーやクンの声は。
少し動けば。
とーやクンの唇が私の耳に触れてしまうんじゃないかってくらい。
近くに聞こえる。
…背中に感じるとーやクンの体温が。
私の心臓の音をさらに大きく響かせた。

