え?
なに?なんなの?
雑誌を手にしたまま隣を見ると。
「…プッ…ククッ…」
吹き出したその男の人は。
サングラスをかけていて表情こそ読めないけれど。
肩を震わせて必死に笑いを堪えているようにしか見えない。
なんなの、この人…。
いきなり吹き出すとか怖いんですけど…。
そんなにおもしろいことが書いてあるの?
でもその人の手にあるのはファッション雑誌。
そんな吹き出すような笑いの要素はないはず。
…この人怖いし。
とーやクン来ないし。
帰ろうかな…。
今日2度目の小さなため息を吐き出した。
「ゆずサン、本気で気付いてない?」
クックッと不意に聞こえた笑い混じりの声。
その声に顔を向けると。
隣の男の人が雑誌を棚に戻して笑いを堪えていた。