不器用なシタゴコロ


「…顔、真っ赤」

『…う…るさいッ!!』





“クックック”と肩を震わせ。

今にも吹き出しそうな笑いを堪えるとーやクンは。

私から顔を逸らして口元を手で覆った。





…この笑い方。

またからかわれた。



とーやクンの冗談は。

冗談に聞こえないときがあるって。

わかってんのかなぁ…。



…一瞬本気にしちゃったじゃんか。





なんて。

ため息半分にグラスのコーヒーに手を伸ばした。





すると、とーやクンは。





「…風呂場、リビング出て左側のドアだから」

『…ッ?!』





そう言って。

“ポンポン”と私の頭に手を置いた。





その言葉と仕草に。

落ち着こうとしていた心臓がまた動きだす。





…も〜…。

とーやクンのバカ…。





熱くなった頬を両手で押さえると。

とーやクンはクスクスと笑いながら。

リビングから出ていった。