不器用なシタゴコロ


「座ってていいのに」





明らかに笑いを堪えながら。

リビングに入ってきたとーやクンは。

手に持ったアイスコーヒーのグラスをテーブルに置いた。



その言葉に。

私はおずおずとソファーに腰を下ろす。





『…あれ?』





ふとテーブルを見ると。

置かれたグラスはひとつだけ。





『…これ…』

「ん?コレは柚の分」

『とーやクンのは?』





私の言葉を待ってましたとばかりに。

ニヤリ。

口元を緩ませたとーやクンが。

目を細めてまた意地悪そうな顔を見せた。





…なんか。

イヤな予感…。





「これから俺、シャワー浴びに行くんだよね」

『…そうなんだ、ごゆっくり』

「…一緒に入る?」

『んなッ?!』





顔どころじゃない。

体中が“ボンッ”と音を立てそうな勢いで。

一気に熱を持った。