不器用なシタゴコロ


少し前にも来たとーやクンの部屋は。

前と変わらずオシャレな部屋。





「…今日は酒、出さないよ?」





リビングに通された私に。

キッチンから聞こえるとーやクンの声。





『あ、うん。ヘーキだよ』

「俺も飲まないからコーヒーでいい?」

『ありがと…。
でも、疲れてるときはお酒入るとよく眠れるのに』





そう言った私に。

とーやクンは“ヒョコ”とリビングに顔を出し。

唇の端を少し持ち上げると。

意味ありげに微笑んだ。





「…眠くなったら、できなくなっちゃうデショ?」

『…ッ!!』





…そんなこと言われて。

私は、なんて返事をすればいいんでしょうか…。





「…ククッ」





返事に詰まったのがわかったのか。

キッチンから笑いを堪えるような声が聞こえてきた。





「…今、そっち行くから」





…笑うのガマンしてる?

声が震えてますケド…。