不器用なシタゴコロ


沈黙が。

狭いエレベーターの中いっぱいに広がる。





…なんて言えばいい?





そのまんま“好き”?

それじゃ足らない。



“愛してる”?

それじゃ重すぎる。





今の私の気持ちに合う言葉。



…こーゆー気持ち。

なんて言うんだろ…。





とーやクンの真っ直ぐな瞳は。

私の心を“ギュッ”っと掴む。





『…あ、のね…』





言葉を発し始めた、その時。





体が“フワッ”と浮きそうな感覚がして。

エレベーターが止まった。





「…残念。着いちゃった」





目を細めて。

口角を持ち上げたとーやクンは。

全然残念そうには見えなくて。

むしろ。

イタズラを楽しんでる子供のようにさえ見えた。