不器用なシタゴコロ


「キスは拒まない。
抱きしめても指絡ませても応えてくれる。
今だって…。
“これから柚のコト抱くよ”って言ったよね」





絡ませた指に“キュッ”と力が入る。





「…自惚れたくもなるし、カンチガイしたくもなるデショ…」





ポツリ。

ため息混じりにとーやクンは呟いた後。

私の目を真っ直ぐに見つめ。

言葉を発した。





「思い込みじゃなくて…柚の声で、柚の言葉で。
どう思ってんのか教えてよ」





心臓が。

“ギュッ”って鷲掴みされたんじゃないかってくらい。

胸が苦しい。





でもそれは。

痛みを伴う苦しさじゃなくて。

バクバクと。

心臓が全力疾走して暴れているようだった。