「…今、マンションの下にいるんだけど…出てこれる?」





とーやクンからそう電話がきたのは。

日付が変わって2時間ほど過ぎてからのことだった。





「遅くなってゴメン」

『ん…大丈夫…』





マンションのエントランスを出た入り口に。

とーやクンは寄り掛かっていた。





…なんか不思議な感じがする。



さっきまでステージの上で。

ライトと歓声をめいっぱい受けてた人が。

今、目の前にいる…なんて。





「…なに?何か俺、おかしい?」

『へッ?』

「いや、かなり凝視されてる気がするんですケド…」





少し気まずそうに。

宙を泳ぐとーやクンの視線。





『やッ…き、気のせい!!気のせいだって!!』





…言えない。

とーやクンを見てたなんて。

恥ずかしくて言えないでしょ…。