不器用なシタゴコロ


「―まだまだ出るよね?もっとデカい声出して!!
…ギター、ミズキ!!」





亮チャンの声は場内を煽り。

ミズキクンを呼ぶ。

呼ばれたミズキクンは。

亮チャンが出てきた逆サイドから不敵な笑いを浮かべ。

ギターを弾きながらクルリと一回転。





…ちょっと待って。





ドラム、ケイチャン。

ベース、亮チャン。

ギター、ミズキクン。





この流れからいくと。

ボーカルって…。





「―ヘイヘイヘイヘイ!!
スペシャルライブにはまだ声が足らねぇな〜。
まだ出るだろ?!なぁ!!」





ミズキクンが焦らすように声を上げる。

それに答えるオーディエンス。





「―いけるよな…いくぜ!!
ボーカル!!…モモ!!」





“キャー”とか“ワァァァァァッ”とか。

悲鳴に似た叫び声が場内を包む。





と、同時に。

ドラムを叩くケイチャンがカウントをとりはじめ。

聞き慣れたイントロが響き始めた。