その振動はすぐには止まらなくて。
ポケットの中でブルブルと震え続ける。
…え〜…。
まさか、お店とかじゃないよね?
マネージャーにも。
『「この日は無理だから!!」』って。
沙保と2人で言いに行ったんだ。
…そこまで、鬼じゃないよ、ね…。
なんて。
少し心配しながらポケットから震えたままのケータイを取り出した。
「電話?」
『うん、そう…ッ?!』
はッ?!
なんで?!
なんで、今ッ?!
『ちょッ、ちょっとゴメン!!』
「ん〜」
電話が切れる前にと。
慌ててトイレに飛び込んだ。
そして。
深呼吸をひとつしてから。
ケータイを開いた。
そこに浮かんでいた発信元。
それは。
“桃夜クン”だった。

