不器用なシタゴコロ


「大丈夫だよ。
沙保が思ってるような…」

『柚にそんな顔ばっかさせるようなヤツなら。
私は反対だからね』





沙保が私の言葉を遮って言った。





『大丈夫だって』

「ホントに?」

『…アハハハハ』

「笑ってごまかすなーッ!!」





…だってさ。

これから行くライブに。

私を“そんな顔”にさせた張本人がいるんだよ?





…なんて言っても。

信じてもらえないだろうな…。



“夢なら寝て見なさい”

とか、言われちゃいそう。





「ま、とりあえず今日はライブを楽しまなきゃ!!」

『…そーだね』





ニッコリ笑った沙保につられて。

私も笑った。





その時。

ポケットの中のケータイがブルブルと震えだした。