「…昨日はホントにごめん」
ミズキクンが頭を下げると。
ちょっとクセのある赤っぽい髪が揺れた。
「でも。
ゆずチャンが見てきたモモは嘘なんてついてない。
からかおうとかそんな気持ち、モモはもちろん…俺らだってなかった」
俯きかげんに話すミズキクンの言葉に。
昨夜の出来事が蘇ってくる。
『じゃあなんであんな“賭け”なんてしたの…』
蘇ってくるのは記憶だけじゃない。
その時の行動、そして。
…感情。
「…モモが言わなくていいって言うなら俺からは言えない。
でも、ライブには来てほしいんだ」
水の幕が張って視界が歪む。
もう泣きたくないのに。
…やっと泣き止めたのに。
傷を抉るようなことしないでよ。
「…来ればわかる」
『え…?』
「ライブ、来てくれればきっとわかるから」
ミズキクンは困ったように眉尻を下げた。

